日本語教室には,様々な相談が寄せられます。その一部をご紹介します。参考にして頂ければ幸いです。
T 生活適応に関する事例
父親がアルゼンチン人,母親が日本人のK子は,5年生に編入した。K子は、アルゼンチンで生まれた。母親が日本人であることと,これまで度々母親の実家を訪れ,2,3ヶ月の滞在の間に日本語に慣れ,さほど不自由しない程度の会話力を身に付けていての編入であった。
来日1ヶ月ぐらいたったある日,K子が半べそをかきながら日本語教室にやってきた。事情をきいてみると次のようなことであった。
K子は掃除当番で,前日までは,ほうき係だったが,今日から床を拭く雑巾係になったらしい。K子は友達のすることを見よう見まねでやっていたが,隅を拭かないK子を見て,女の子が,「あんた,そんな拭きかたしないでよ。そんなことも知らないの。1年生だって知っているのに。」と厳しい口調で注意をした。この言葉にK子は,大変なショックを受けてしまった。
日本語は上手であっても,在日期間が長くても,日本の子供に比べてわからないことがいっぱいあることを,他の児童生徒に理解させておくことが大事である。
(2) 身体的な適応
「膝が痛い。」
中国引き揚げ児童生徒の多くが,冬場になると「先生,膝がいたい。」と訴えてくる。中国北東部で生活していた児童生徒は,極寒の中,登校はズボンにコートを着用し,教室では暖房の中で学習をしている。それに比べ,日本は制服だけで登校し,教室は暖房無しの生活である。特に,女子の場合スカート着用で脚部は丸出しである。暖かい鹿児島であっても冬は寒い。冷え切った脚。しまいには膝の痛さに我慢できないのである。
在籍校や学級担任とも相談して,小学校では長ズボンを使用するようにしている。中学校では,ジャージを使用するようにしている。
児童生徒の育った国の気候等十分配慮した対応を図っていく必要がある。
(3)言葉への適応
「僕の悪口を言っている。」
父親の仕事の関係で中国から来日したC男。3年生に編入。
来日後2ヶ月位の頃,「クラスの友達とけんかばかりしている。」「注意すると,物凄い剣幕で文句を言う。」「あやまらない。」「クラスの保護者から文句がきている。」等,C男
ついて学級担任から相談を受けた。
クラスの児童から状況を聞いた後,中国語通訳者,担任,日本語担当者でC男に事情を聞いた。C男の言い分は下記のように要約された。
○ 友達が2,3人でいつもぼくの悪口を言っている。
○ 話をしよう思っても日本語でうまく言えない。
○ ドッジボールの仲間に入れてくれない。
○ 僕は,悪くないから謝らない。
日本語が通じないために,悪口をいわれていると誤解し,自分の思いを伝えられなくてイライラして,つい我慢できなくなって喧嘩を始めてしまったのである。
U 学習への適応
(1) 高校進学
「高校へ進学したい。」
中国引き揚げ生徒,帰国生徒及び外国人生徒(今後数年滞在予定)のほとんどは,日本の高校への進学を希望している。中学2年生や3年生になると,日本語学習の度に高校への進学に関することを話題にする。外国人等生徒の高校進学は,本人はもちろん関係者にとって切実な問題として解決に向けて取り組んでいかなければならない。
本県の外国人等生徒に関する高校入試への配慮事項は次の通りである。
『平成16年度 鹿児島県公立高等学校入学者選抜実施要綱』より抜粋
1 帰国生徒等特別入学者選抜
(3)出願資格
ア 原則として,外国における在住期間が継続して3年以上で,帰国又は来日後3年以内であること。(従来は2年以内。16年度より改善)
(7)選抜の方法
調査書,面接,作文等を総合して選抜するものとする。
2 学力検査による帰国生徒等の特別措置
(1)
ア 中国引き揚げ者等生徒で,帰国小学校4年生以上の学年に編入していた者
イ 海外勤務者帰国生徒又は補習授業校のない地に引き続き3年以上在籍し,かつ平成14年4月1日以降帰国した者
(2)特別措置の内容
ア 学力検査時間の延長
学力検査時間を「国語」は25分,「他の教科」は15分延長し……
イ 学力検査の漢字のふりがな
学力検査問題の一部について,別に漢字ふりがな表を準備するものとする。